農業における事業承継

2020年11月27日ビズマコミュニティ 管理者

日本の農業において特に深刻なのが農業従事者の高齢化と後継者不足です。日本の農家における高齢化は顕著で、農家として働く人の6割以上が65歳以上といわれています。平均年齢は実に66.8歳で、ほぼ70歳に近い世代が一生懸命農業に従事していることになります。

引用元:農林水産省https://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/data/08.html

若い人材の不足はもはや慢性化しており、農業における抜本的な構造改革が迫られています。農業と言うと、たいていの人はどんなイメージを持つでしょうか。収入の不安定さや重労働と言ったネガティブな印象が多いかもしれません。農業には、社会・経済の安定を担う重要な役割が有るにも関わらず、この様なマイナスイメージが根強いです。収入が安定しない以上、職業としての魅力に欠け、若い人たちが就農を躊躇するのは無理もありません。 農業はサラリーマンと違い、仕事を始めるにあたって初期投資がかかります。必要な農具を揃えるのにはある程度まとまった資金が必要になります。初期投資に見合った収入の確保も最初の数年は特に難しいのです。その為、若い人たちを就農させる為には、先ず収入の安定的な確保が課題となります。農業の魅力と重要性をいかにアピールし、新しい農業と後継者を育成するのかが重要になってきます。

今回は農業の後継者対策の施策として既に農水省が行っている「農業次世代人材投資事業」と更に2021年度から新たに始める取り組み「経営継承・発展等支援事業」、そして法人への承継対策として投資会社を利用する「農業法人投資育成制度」についてご紹介したいと思います。

農業次世代人材投資事業とは*  *~*政策目標:40代以下の農業従事者を40万人に拡大 [令和5年まで]~*

次世代を担う農業者を志す者に対して、就農前の研修を後押しする資金(準備型・最長2年間)及び就農後の経営確立を支援する資金(経営開始型・最長5年間)を交付します。

準備型

都道府県などが認める道府県の農業大学校や先進農家などの機関等で研修を受ける就農希望者に、年間150万円を交付します。就農予定時の年齢が原則49歳以下であり、都道府県などが認めた研修機関で概ね1年以上(1年につき概ね1,200時間以上)研修することなどが交付要件となります。事業の申請などの窓口は都道府県又は青年農業者等育成センター、全国農業会議所が担当しています。

経営開始型

新たに農業経営を始める方に、年間最大150万円を交付します。独立・自営就農時の年齢が原則49歳以下の認定新規就農者であり、次世代を担う農業者となることに強い意欲を有していること、市町村が作成する「人・農地プラン」に中心となる経営体として位置付けられている(位置付けられることが確実と見込まれることを含む)などが交付要件となります。事業の申請等の窓口は市町村が担当しています。

引用元:農林水産省https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/n_syunou/roudou.html

経営継承・発展等支援事業

農林水産省は令和3年度予算の概算要求に「経営継承・発展等支援事業」を盛り込み、新たに54億7500万円を計上しました。親元就農の場合を含め、円滑な経営継承を促し、担い手を確保するのが狙いです。事務局を担う市町村などの事務費等にも別に5億2000万円計上しています。親子間の継承か、第三者継承かは問われません。

<対策のポイント>

農業者の一層の高齢化が急速に進むことが見込まれる中、地域の農地利用等を担う経営体を確保するため、実質化された人・農地プランに基づき、国と地方が一体となり経営を継承し発展させる取組を支援します。

日本農業新聞10/18記事より:引用元https://www.agrinews.co.jp/p52167.html

経営継承・発展支援

地域の中心経営体等の後継者が、経営継承後の経営発展に向けた取組(販路の開拓、新品種の導入、営農の省力化等)に関する計画を策定し、経営を継承した場合に市町村と一体となって支援(経営継承時に定額100万円を交付、うち市町村が定額50万円を負担)します。このほか、中心経営体等に後継者候補が就農し、外部研修等の経営継承の準備を行う場合に必要な経費を支援(50万円上限:国、市町村がそれぞれ1/2を負担)します。100万円の交付と上限50万円の支援は、併用できますが、新規就農者に最長5年間交付する「農業次世代人材投資資金」の経営開始型とは併用できないようにする方針で同資金の準備型と併用できるようにするかは今後、調整するようです。

推進事務等

経営継承・発展支援事業の事務局を担う民間団体等及び市町村の事務費を措置します。また、人・農地プランの実質化が遅れている地域の活動経費、農業外の事業者や地域外の担い手との連携の取組を支援します。

引用元:農林水産省https://www.maff.go.jp/j/keiei/soumu/yosan/attach/pdf/index-350.pdf

*農業法人投資育成制度* *~アグリビジネス投資育成株式会社等の活用~*

「農業法人投資育成制度」とは「農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法」に基づき、農林水産大臣の承認を受けて、農業法人投資育成事業を行うことです。規模拡大等に意欲的に取り組む農業法人に対して、資金供給が強力に促進されるよう、多様な投資主体(投資事業有限責任組合)による農業法人への投資が可能となりました。この「農業法人投資育成制度」での第一号の投資育成会社として、日本政策金融公庫とJAグループの出資により、2002年にアグリビジネス投資育成株式会社が設立され、その後、法改正を経て地方銀行等による農業法人投資育成制度への参入が進みました。農林水産大臣の承認を受けた投資事業有限責任組合が、令和2年9月現在全国に22組合設立されています。

引用元:農林水産省https://www.maff.go.jp/j/keiei/kinyu/toushiikusei/attach/pdf/gaiyouhourei-19.pdf

事業承継における投資会社等の活用

例えば法人農家において、後継者は決まっているけれど現時点で当社株式を買い取る資金や承継の準備のための時間が十分に整っていないなどの場合に、出資を受けることで後継者が資金を用意するまでの時間を確保したり、経営相談に応じてもらったりすることも可能です。

事業承継には目に見える資産(人・資産)の承継と、目に見えない知的資産の承継があります。特に知的資産(ノウハウや顧客との信頼関係)の継承には何年もの長い時間を要します。早めに後継者を選定しその能力を養成していくなどの対策が肝要です。

以上農水省が行っている主な施策をご紹介してきました。

ご紹介したこれらの施策が事業承継を考え実行していく上での一助になれば幸いです。

その他参考文献

https://www.agriweb.jp/column/355.html

https://careergarden.jp/nouka/noukakeieikeishoujigyou/

https://www.be-farmer.jp/support/subsidy/fund/