令和3年度税制改正の大綱 (前編)

2021年02月05日ビズマコミュニティ 管理者

昨年12月に「令和3年度税制改正の大綱」が閣議決定されました。

弊社が取組む事業承継に関連する分野も、法人課税・資産課税を中心に、毎年改正が行われております。

そんな中、今回のコラムは、会員の皆様にご興味が有りそうな、事業承継・中小企業に関連する主な改正点を、以下の様な内容で、前編・中編・後編の3回シリーズに分けて、お届けして参ります。

前編…令和3年度税制改正大綱の全体感と目玉政策について

中編…M&A関連税制の創設及び中小企業支援関連について

後編…資産税関連、相続・事業承継に関連する改正点について

<前編>令和3年度税制改正大綱の全体感と目玉政策について

コロナ禍において、税収伸び悩みに加え、コロナ関連補正予算で、日本のみならず、世界的にも、台所事情が厳しいのは誰しもが想像に難くないお話ですが、そんな中、令和3年度の税制改正の目玉は何なのか?

例年の税制改正から較べると、今年度は大きな目玉改正は少なく、小粒の改正点が多いと言われている様ですが、それぞれの項目を見ると企業の実務に影響を与えるものも多い様です。

そんな中、政府の閣議決定資料を見ると、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現を目指し、大きくは下記3項目に主眼を置いております。

1  企業のデジタルトランスフォーメーション及びカーボンニュートラルの投資促進税制の創設

2 中小企業の経営資源の集約化による事業再構築を促す税制の創設

3 家計と民需下支えの為の各種税制優遇処置の拡充

~財務省HP 「令和3年度税制改正大綱」より引用~

上記1(企業のデジタルトランスフォーメーション及びカーボンニュートラルの投資促進税制の創設)

こちらは、政府がポストコロナに向けた目玉施策の1丁目1番地に位置するものですね。DXの加速化と脱炭素社会に向けての取組を加速させるもので、概略は以下の通りですが、適用の前提として、改正を前提とした産業競争力強化法の認定が必要であり、その認定要件が現状未確定の為、現時点でどのレベルの企業や投資が認定されるのかは不明確です。但し、例えば、DX投資促進税制であれば、取得価額の合計が300億円を限度、カーボンニュートラル投資促進税制であれば500億円を限度としていますので、かなり大規模な投資をイメージして作られているものと思われます。

又、上述した改正産業競争力強化法の施行日から、DX税制であれば2023年3月31日迄、カーボンニュートラル税制であれば2024年3月31日迄に、それぞれ投資をして事業の用に供することが前提となる様ですので、かなり短期間で計画をして実行しなければならないといけないことになりますね。

<制度概要>

<デジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制の創設>

「つながる」デジタル環境の構築(クラウド化等)による事業変革を行う場合に、税額控除(5%・3%)又は特別償却(30%)ができる措置を創設する。

<カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の創設>

カーボンニュートラルに向け、脱炭素化効果の高い先進的な投資(化合物パワー半導体等の生産設備への投資、生産プロセスの脱炭素化を進める投資)について、税額控除(10%・5%)又は特別償却(50%)ができる措置を創設する。

~財務省HPより引用~

上記2(中小企業の経営資源の集約化による事業再構築を促す税制の創設)

中小企業の経営資源の集約化による事業再構築を促す税制の促進につきましては、中編の中小企業支援関連にて触れさせて頂きたいと思いますが、法人課税関連の改正点につきましては、ポストコロナの経済再生、産業競争力強化に向けた「株式」「研究開発」「人材」「設備」等、投資に対する改正点が多いのが特徴です。

上記3(家計と民需下支えの為の各種税制優遇処置の拡充)

家計と民需下支えの為の各種税制優遇措置の拡充の部分は、主に個人に対する課税措置についてのお話になると思いますが、以下の通り、住宅ローンや子育てに関する助成金の非課税措置について、改正が盛り込まれております。より個人の生活に密着した部分の改正がメインとなっている印象です。

<個人所得課税関連改正点>

<住宅ローン控除の特例の延長等>

控除期間13年の特例の適用期限を延長し、令和4年末までの入居者を対象とするとともに、この延長した部分に限り、合計所得金額1,000万円以下の者について面積要件を緩和する(50以上→40以上)。

この措置による個人住民税の減収額は、全額国費で補塡する。

<セルフメディケーション税制の見直し>

対象をより効果的なものに重点化し、手続を簡素化した上で5年延長する。

<国や地方自治体の実施する子育てに係る助成等の非課税措置>

国や自治体からの子育てに係る助成(ベビーシッター・認可外保育施設の利用料等)について、子育て支援の観点から、非課税とする措置を講ずる。

<退職所得課税の適正化>

勤続年数5年以下の法人役員等以外の退職金についても、雇用の流動化等に配慮し、退職所得控除額を控除した残額のうち300万円を超える部分について2分の1課税を適用しない。

~財務省HPより引用~

以上、前編では、令和3年度税制改正大綱における全体感と主要施策についてのお話をさせて頂きましたが、次回は、「M&A関連に関する税制改正」と「中小企業支援関連の税制改正」について、お話させて頂きたいと思います。2月後半を予定しております。

参考資料…税理士法人山田&パートナーズ 「2021年度税制改正オンラインセミナー」

財務省発表 令和3年度税制改正の大綱 http://20201221taikou.pdf (mof.go.jp)