M&A手数料事情について

2021年12月06日

2021年3月、経済産業省は「中小M&Aガイドライン」を策定しました。

中小企業がM&Aをためらう主な3つの要因を踏まえ、M&Aの基本的な事項や手数料の目安を示すとともに、M&A業者等に対して、適切なM&Aのための行動指針を提示しています。M&A支援に対する不信感を払拭し、さらなる中小企業のM&A促進を図ることが目的です。

中小企業がM&Aを躊躇する3つの要因

①M&Aを進めようと思っても、M&Aに対する知見・経験がない

②M&A業務の手数料等をいくら払うべきか分からない

③M&A支援に対する不信感

 今回はこの中でも皆さんが気になるところの仲介手数料についてまとめてみました。

仲介手数料の基本体系

仲介業者・FAの手数料には一般的な法規制がなく、どのような料金体系を採用するかはあくまでも各仲介業者・FAによるため、この点について注意が必要です。

また以下主な手数料のうち着手金・月額報酬・中間金を設けずに成功報酬のみを設ける仲介・FAが多いことも知っておきたいところです。

①着手金:主に仲介・FA契約締結時に発生

仲介業者に相談して業務を依頼するために支払う手数料。

後述の成功報酬が発生した場合に成功報酬の内金となることもあります。

請求する仲介業者・FAと、請求しないものとに分かれます。

相場は50万円から200万円程度といわれています。

(※一度払ったものは案件不成立でも戻らないので注意が必要)

②月額報酬:主に月ごとに定期的・定額で発生

毎月仲介業者に支払う手数料。定額顧問料、リテイナーフィーともよばれます。

成功報酬の内金となることもある。

ただし、こちらも請求しない仲介・FA会社が多いようです。

③中間金:基本合意締結時等、案件完了前の一定の時点に発生する手数料

M&A基本合意契約を締結したタイミングで支払う手数料

成功報酬の一部で予想される成功報酬額の10%から20%を支払うのが一般的といわれています。成功報酬の内金となることが多いです。

ただしこちらも請求する仲介・FA会社は少なくなっています。

※一度払った中間報酬が交渉不成立でも戻ってこないので要注意です。

④成功報酬:案件完了時。M&Aの最終契約締結後。

一般的算出には※レーマン方式を用いることが多いです。

レーマン方式

レーマン方式とは買収価格によって手数料が変動する計算方法。

一般的な手数料率は以下の通り

 

出典:中小M&Aガイドライン ―第三者への円滑な事業引継ぎに向けて―

https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200331001/20200331001-2.pdf

注意点として、消費税10%が別途かかります。

また譲渡側が小規模である場合には基準となる価額が小さく、十分な成功報酬を確保できないことがあり得るため、最低手数料を設けている仲介業者・FAは多いので要確認です。

主な手数料についてご紹介しましたが、

このほかにもM&Aにかかる費用があります。

①デューデリジェンス費用(買手負担が主であるが、売り手負担の場合も有り)

②税金(売り手側:法人税、事業税等)

③株券発行費(株券発行会社による株式譲渡で必要となる)

などがそれにあたります。

 


以上手数料についてまとめてみました。

仲介業者・FAを選ぶ場合には完全成功報酬型を選ぶのがよいかと思われます。もし案件が成立しなかった場合に余計な費用を払わずに済むからです。

また本当に必要な業務範囲をよく限定し、複数の会社を比較・検討して自分の会社にあった仲介業者やプラットフォームを探していくのが大切です。

また中小企業庁の発行するパンフレット内において

M&A専門業者などに依頼する際の注意点・チェック事項がまとめられていますのでご紹介します。是非ご参考にしてみてください。

出典:https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2020/201223_ma_guideline.pdf