令和3年度税制改正の大綱 (中編)

2021年02月19日ビズマコミュニティ 管理者

<中編>

前回よりお届けしております「令和3年度事業承継税制の大綱」について、今回は「中編」をお届けします。

今般のテーマは皆様にも関心が高いと思われます、M&Aや中小企業の法人税制に絡む部分をご案内させて頂きます。

先ずM&Aに関する直接的な改正では大きく2点、「株式対価M&Aを促進する為の措置の創設」 と「経営資源集約化税制(中小M&A税制)の創設」 です。

先ず、「株式対価M&Aを促進する為の措置の創設」から見ていきましょう。

<株式対価M&Aを促進する為の措置の創設 概要>

*法人がM&Aにて株式を譲渡し、その譲渡した対価として親会社(譲渡した相手側企業のこと)の株式を受け取った場合は、自社の株式における譲渡損益についての課税を繰延出来る。*

*(但し、対価として交付を受けた資産の価額のうち、親会社の株式価額が80%以上の場合に限る)*

そもそも株式対価M&Aとは…

買収会社が自社株式を買収対価に用いて対象会社を子会社化するM&Aのことを言います。

海外においては比較的馴染みの多い手法ですが、国内では、会社法の規制等から株式対価M&Aが利用されるケースは少なく、活用が課題になっていたものです。従来、国内ではM&Aの対価は株式ではなく、現金であるのが殆どですね。

今般、会社法の「株式交付制度」が改正される(令和3年3月1日施行)ことに伴い、この制度も改正されることになりました。前述の概要にある、但し…の条件の所の意味は、「譲渡損益の繰延を受ける場合は、80%以上を親会社の株式で受け取らないと、この税制は適用されないという事です。かつ、親会社の株式以外で受け取った部分は、この税制の対象にはならない様です。

図を用いて説明すると上記の様になりますが、例えば、対象会社(買収される会社)の株主について考えた場合、従来であれば、株式を売却した場合は手元に株式売却資金が入ってきますが、株式対価M&Aの場合は、現金でなく、買収会社の株式が交付されることになります。仮に、譲渡益が出ても、手元に現金が入らない、納税も出来ないことになる為、課税を繰延られると考えれば解り易いと思います。

子会社化を行う様なM&Aを中心に、今後、利用されるケースが増えそうですね。

次に「経営資源集約化税制(中小M&A税制)の創設」を見てきましょう。

<中小企業の経営資源の集約化に資する税制の創設>

中小企業等経営力強化法の経営力向上計画の認定を受けた法人が、他の法人の株式等の取得をし、かつ、これをその取得日を含む事業年度終了の日まで引き続き所有している場合において、その株式等の価格の低迷による損失に備える為、その株式等の所得価額の70%以下の金額を中小企業事業再編投資損失準備金として積み立てたときは、その積み立てた金額は、その事業年度において損金算入できることとする。

これは、中小企業のM&Aを加速させていきたいとの政府意向が強い中で、株式の取得後に簿外債務・偶発債務等が顕在化するリスクに備える為、準備金を積み立てたときは、損金算入を認めるとの基本的考え方に基づく、新たな仕組みです。

先ず前提として、資本金又は出資金の額が1億円以下の中小企業でしか適用されないというところがポイントですね。

又、株式の取得価額が10億円以下(FA費用、DD費用、その他諸経費も含まれる)のM&Aにおいて、その70%迄を損金算入出来ると有りますので、大規模な案件は対象外となります。

上記のイメージ図の様に、先ずは中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受ける必要があります。

当初5年間は、準備金積立てによる損金算入が認められますが、5年後以降は、逆に、準備金取崩しによる、益金参入が必要となってきますので、長期のタックスプランニングが必要になりますね。

昨今、M&A保険も話題を呼んでいる様に、M&A実施後の買収企業側のリスクを軽減出来る税法上の措置として、利用が見込まれると思います。

今回の税制改正大綱にて、M&Aが全面に出る改正点は上記2つとなりますが、最後にもう1つM&Aに関連する改正内容をご案内致します。

従来よりある「中小企業経営強化税制」が見直され、制度の2年延長とともに、新たに

「経営資源の集約化に基づきM&Aの効果を高める設備として、「経営資源集約化設備(D類型)」が追加されました。

これは、中小企業が実際にM&Aで買収を実施した後、自社とM&Aにより取得した技術を組み合わせた新商品を製造する為の設備投資や、共通のシステム投資を実施する際に、減価償却や税額控除の優遇が受けられるものです。

以上、今回は令和3年度税制改正の大綱の中で、M&Aに関連する改正点をテーマにコラムを作成させて頂きました。

大廃業時代を迎えた日本において、M&Aを1つの救世主とすべく、政府も税制面での優遇措置を考えているのは間違いないと実感しますが、求められるのは、中小企業・小規模事業者が、事業承継の解決策として、より身近に第三者承継を感じてもらえる仕組み作りを、より一層推し進めていくことが大切だと感じます。

弊社では、単純な譲渡・譲受案件のサイトを通じてのご紹介だけではなく、企業様の事業課題を幅広く解決させて頂くご支援を行っておりますので、日頃お悩みのことが御座いましたら、先ずはビズマサイトよりお気軽にお問合せ下さい。

次回3月上旬には、シリーズ最後となりますが、

後編…資産税関連、相続・事業承継に関連する改正点について

をお送りさせて頂く予定です。

参考資料…税理士法人山田&パートナーズ 「2021年度税制改正オンラインセミナー」

財務省発表令和3年度税制改正の大綱 http://20201221taikou.pdf (mof.go.jp)

デロイトトーマツ 令和3年度税制改正大綱の概要