フランチャイズの事業承継

フランチャイズの事業承継

- ビズマ運営事務局

~モスバーガー、ファミリーマートのFC本部取組から得るヒント~

日本の外食業界はFC制度で規模を拡大・成長してきました。しかし昨今オーナーの高齢化は避けては通れない課題となっています。今回はフランチャイズ加盟店のオーナー高齢化にともなう事業承継問題に着目してみたいと思います。

フランチャイズシステムでは、一定程度の収益が確保されている限り、本部と加盟店の契約関係は10年、15年と長期間にわたることが前提です。
特に、モスバーガーやファミリーマート等のコンビニのように、個人加盟が主体となるFCシステムの場合、オーナー高齢化の影響はより大きくなります。
モスのオーナーに限ると、約3割はカフェや定食屋など他のチェーンと兼業しているという特徴もあります。業界全体でも事業承継という課題に向き合う必要があるようです。

大手企業の取り組み例1(ファミリーマート)

背景
コンビニが誕生してから約半世紀、コンビニ本部と加盟店との関係は共存共栄です。
米屋や酒屋がルーツで夫婦主体の個人経営からFC加盟へという流れがありました。
当初は個人の商売のため自分の子どもに継がせるのが常であり、ファミリーマートでも事業を引き継ぐ際には、3親等以内の親族と契約で定めていたのです。
しかし法人化してコンビニ経営に加わる人が増加し、親族への事業承継が必ずしも当たり前ではなくなりました。経験を積んだ店長に、お店を継いでほしいと考えるオーナーも増加します。加盟店のオーナーはその地域を一番知っている人で、事業承継がスムーズにできなければ大きな損失になると考えたFC本部は様々な対策を講じていくことになります。

【2019年、(FC)加盟店との契約制度を大きく見直し】
① 法人としてコンビニエンスストアを経営している場合、代表者の名義変更を可能に
想定しているのは加盟店のオーナーが、現場を任せている店長等に経営を引き継ぎたいと考えているパターン。契約を切らさないまま代表権を譲れるようになった。
②事業承継の対象を配偶者や子どもなど3親等以内の血族から、代表者の子どもの配偶者などにも広げる
③オーナーの年齢上限も、10年契約では65歳から75歳に引き上げる
④03年に始めた店舗従業員の独立支援制度は最大100万円の支援金を用意

大手企業の取り組み例2(モスバーガー)

背景
店舗拡大を支えてきたFCのオーナー達。オーナーは全国に400人程おり、2000年時点をピークに店舗数の減少が始まります。
2000年当初からオーナーの平均年齢は既に50歳を超えており高齢化が顕著でした。
当初からモスバーガーはコンビニとは違って親族外への承継も認めてきましたが、元々親子承継が一般的であり、なかなか親族外承継は増加しませんでした。
そこでモスバーガーFC本部も制度を確立し円滑な承継の後押しを図ります。

① 2003年 後継者確保を目的としたオーナー研修を始める。
② 2015年 オーナー育成研修
「次世代オーナー育成研修」の内容を拡充→2019年までに109人が新しくFCオーナーに
③ 2018年 将来のFCオーナー候補として未経験者の採用・育成も強化。
④ 2019年 レンタル店舗制度
レンタル店舗の制度も導入、1年更新だが初期投資コストが抑えられ、いずれは店舗の買い取りも可能とした。
⑤ 2020年 FC本部スーパーバイザー業務に事業承継サポートが加わる。

これら施策の中でも強調されたのは研修であり、その受講者の顔ぶれに30~35歳の若手が目立つことでした。事業承継で大切なのは、早い段階からバトンを手渡す相手を育てることだと店舗運営業務部長の中村氏は日経記事(10/30)の中で語っています。

以上大手2社の取り組みを事例にみてきましたが、
FC本部側からの対策ももちろん重要ですが、FCの斡旋だけにたよらず、加盟店オーナーが自ら独自に承継を進める手立て(事業譲渡)についても述べてみたいと思います。

FCの事業譲渡について

FC加盟店が実際に事業譲渡を行う場合に考えられるパターン

① FC本部への事業譲渡
② 同じFCチェーン内の加盟店に事業譲渡
③ 新規でFC事業に参入する企業への譲渡など

しかし、実際にはFC加盟店の事業譲渡はFC契約内で禁じられていることが多く、まず事業承継を検討する場合は、FC本部に相談・確認する必要がありそうです。
(先ほど見てきた事例のようにモスバーガー、ファミリーマートでは事業譲渡禁止についての規定も緩和されてきています。)

事業譲渡のメリット

FC加盟店のオーナーは常に、FC本部からの制約、毎月のロイヤリティ、人手不足等多くの悩みを抱えているはずです。
事業譲渡を行えばこれらの経営のプレッシャーから解放されるメリットもあります。

仮に親族に承継させようと考えても、FC加盟店オーナーという不安定な職業を引き継がせたくない、そもそも子どもがいない等事情も様々あるかもしれません。
後継者問題で悩んでいるオーナーにとって譲渡先が企業ならば後継者教育は不要で、譲渡に必要な時間も短く済む可能性があります。

FC加盟店の価値は、帳簿に計上されているものだけとは限りません。
店舗自体が地域の財産になっていることが多い為、常連客層や営業エリア、また運営ノウハウといった無形資産の価値が認められれば、オーナーが譲渡益を手にできる可能性もあります。従業員の雇用も継続されます。

事業承継を成功させるために

FC加盟店の事業承継を成功させるためには、まず、自店舗の強みを明確にし、強みや価値が伝わる説明をしたいところです。譲れない条件の優先順位付け、明確化も必須です。
オーナー単独では難しい作業が多いかもしれません。
事業承継のプロであるM&Aアドバイザーに相談するのも手でしょう。
ハードルは高いかもしれませんが、廃業するよりはるかにメリットの大きい事業譲渡についても一考してみるのはいかがでしょうか。

【出典】
モスフードサービス(上)営業本部長太田恒有氏、FCオーナー高齢化、店舗減、2000年から危機感(事業承継) 日本経済新聞  2020/10/20

モスフードサービス(下)営業本部長太田恒有氏、FC若返り、30~35歳、早いうちに育成(事業承継) 日本経済新聞  2020/10/30

オーナー確保 親族承継のみでは限界 ファミリーマート(上) 店舗運営業務部長 中村弘之氏 日本経済新聞 2020/10/6

FC制度 右腕店長へ名義変更可能に ファミリーマート(下) 店舗運営業務部長 中村弘之氏 日本経済新聞 2020/10/13

【参考文献】
スマートフランチャイズ本部構築 https://smart-fc.jp/news/fc_news